FM多摩丘陵における気象要素と降水化学の解析

概要

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本学の実験研究施設「FM多摩丘陵」(以下FM多摩)における1959〜2003年の気象観測データと1999〜2006年の降水化学データに対して,線形回帰およびKendall型の検定によりトレンド解析を行った。FM多摩の年平均気温はこの45年間で0.5℃増加した。対照地点として都心部の大手町,島嶼部の大島,三宅島をとると,大手町と大島では1.4℃増加したが,三宅島では増加しなかった。年降水量については4地点とも有意なトレンドは認められなかった。降水化学の解析は無機態窒素成分のNO_3^-,NH_4^+,およびその和ΣNを中心に行い,公表データを用いて西東京(多摩,福生,檜原),日本全域,東アジアとの比較を行った。FM多摩および西東京のNO_3^-,NH_4^+濃度について有意なトレンドは認められなかった。FM多摩のNO_3^-,NH_4^+の月間加重平均濃度の平均は42.8,38.2μmolL^<-1>で,西東京3地点より1.6〜1.9,1.5〜2.1倍ほど高かった。FM多摩の窒素湿性沈着量は,NO_3^-,NH_4^+,ΣNそれぞれ40.9,44.5,85.4mmol m^<-2>y^<-1>でいずれも4地点中で最大であり,西東京3地点より1.1〜1.4,1.3〜1.7,1.2〜1.5倍ほど高かった。