液体窒素トラップを組み合わせた還元気化原子吸光法による天然水中の無機及びアルキルヒ素化合物の分別定量

概要

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コールドトラップ法を組み合わせた還元気化原子吸光法を用いて,天然水中のppbレベル以下のヒ素化合物{ヒ素(III),ヒ素(V),モノメチルアルソン酸(MMAA),ジメチルアルシン酸(DMAA)}を分別定量する方法を検討した.試料中の4種のヒ素化合物は,テトラヒドロホウ酸ナトリウムによってアルシン類に還元され,液体窒素トラップで冷却捕集される.無機態ヒ素,MMAA及びDMAAの分別は,コールドトラップからの再気化の際に,アルシン類の沸点差を利用して行った.又,ヒ素(III)とヒ素(V)の分別は,試料液の還元時のpHを調整することによって行った.本分析法の検出限界は,ヒ素(III)0.2ng,ヒ素(V)0.2ng,MMAA 0.7ng,DMAA 1.3ngであった.又,標準溶液を用いた繰り返し測定による変動係数は,4種のヒ素化合物すべてにおいて,5%以下であった.天然水試料に本分析法を適用したところ,極めて微量な有機ヒ素化合物を,濃縮・抽出操作なく定量することができた.その結果,ヒ素(III)は(0.02〜4.3)ppb,ヒ素(V)は(0.25〜17)ppb,MMAAは(0.004〜0.006)ppb,DMAAは(0.01〜0.1)ppbであった.
社団法人日本分析化学会の論文
1983-09-05