大気浮遊粒子状物質中の水溶性元素定量のための試料前処理法
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概要
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ガラス繊維フィルター上に捕集した大気浮遊粒子状物質中の水溶性元素の定量方法について,その試料前処理法を中心に検討した.その結果,試料フィルターを蒸留水と単に浸せき加温するだけでは,水溶性元素の溶出は加温時間,温度などの溶出条件によって複雑な影響を受け,加温時間が長く,温度が高いほど溶出量の減少する傾向が認められた.これはいったん溶出した水溶性元素が多孔性のフィルター表面に吸着するためと考えられ,正確度の高い分析を実施するためには,この吸着による損失を防ぐことが必要である.改良法ではフィルターからの溶出液中にイオン交換樹脂を共存させ,溶出元素をいったん樹脂上に吸着捕集した後,その溶離液{(1+3)塩酸}を定量分析に供している.従って,フィルター表面への金属元素の吸着損失がほとんどなく,本前処理法を誘導結合高周波プラズマー発光分光分析法と組み合わせることにより,大気中の水溶性元素の高感度でかつ正確度の高い多元素同時定量が可能となった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1980-03-05
著者
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