カルシウム-トリエチレンテトラミン六酢酸キレートのプロトン核磁気共鳴吸収と溶存状態

概要

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トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)とカルシウムを1:1,及び,1:2のモル比で含む重水溶液のプロトン核磁気共鳴(PMR)スペクトルを観察した.1:1溶液中ではpD〜10以上でCaL^<4->(L^<6->はTTHA陰イオン)が,pD7〜8ではCaHL^<3->が定量的に存在し,その中間のpD領域ではキレートがプロトン化してゆくことを示した.2:1溶液ではpD8.5以上でCa2L^<2->が安定に存在するが,pD低下に伴いCaHL^<3->を経由してしだいに解離することを示した.CaL^<4->ではTTHAの4個の窒素原子の全部が,CaHL^<3->では3個が,それぞれ配位に関与していた.CaHL^<3->は窒素原子の配座交換に関して10^<-2>秒の寿命があった.Ca_2L^<2->においては,TTHAの中央の2個の窒素原子は別別のカルシウムに配位しており,キレート環を形成していなかった.このことは,この2個の窒素原子にはさまれたエチレン鎖上のプロトンのPMRピークの著しい低磁場シフトと関係づけられた.
社団法人日本分析化学会の論文
1977-07-05