オージェ電子分光法による低エネルギーピークを用いた金-銅合金の定量分析(<特集>表面・界面・薄膜と分析化学)
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概要
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オージェ電子分光法により表面感度の高い低エネルギーピークを用いて, Au-Cu合金の定量分析について検討した.Au-Cu合金は全率固溶体を作り, 電子構造が似ていることから低エネルギー領域でもオージェピークは化学効果により変化することはないと考えられるが, Auピークの高エネルギー側に化学効果によるものと見られる変化が観測された.しかし, その効果は小さく, 定量分析には問題はなかった.又, Au-Cu合金では, AuとCuの低エネルギーオージェピークは重なって観測されるが, top-hat filterを用いた非負拘束付き最小2乗法を用いることにより, 両者は十分な精度でピーク分離することができた.定量した金の濃度は高エネルギーオージェピーク(Au2024,239,Cu920eV)を用いて定量した場合よりも高かった.これは, 100eV以下の低エネルギー領域ではマトリックス補正に用いたR及びλの式の精度が十分でないためであると考えられる.又, 低エネルギーピークを用いるとオージェ電子の脱出深さが小さいのでイオン誘起表面偏析によりAuが表面に濃縮されていることを観測している可能性も考えられる.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1991-11-05
著者
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