話し言葉における文法的不適格文に対する漸進的翻訳手法

概要

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計算機による効率的な対話翻訳の実現のために, 原言語の入力に対して同時進行的に目標言語を出力する漸進的翻訳システムが必要である。著者らはこれまでに, 漸進的な解析・変換に基づく英日話し言葉翻訳手法を提案している。この手法では, 英単語が入力されることにチャート法を用いて統語構造を構築し, この統語構造に変換規則を適用することにより漸進的に日本語翻訳文を生成する。ところで, 一般に話し言葉には, 間投詞などの挿入や語句の脱落, 置換など, 文法的に不適格な現象が多数出現するが, これまでに著者らが作成したシステムでは, あらかじめ間投詞などを削除した英語文を入力する, あるいは, 脱落や置換を許容する文法規則を用いるなどの方法で文法的不適格性に対処していた。しかし, このような対処法は実際の話し言葉翻訳において現実的ではない。また, Mellishや加藤はチャート法に基づく不適格文解析手法を提案しているが, これらは一文全体が入力された時点で誤り修正を実行するものであり, 漸進的な翻訳には適さない。本稿では, 文法的不適格文に対して, 解析に失敗した時点で即座に誤り修正を行うことにより漸進的に統語構造を構築し, この統語構造に変換規則を適用することにより漸進的に翻訳結果を作成する手法を提案する。文中の適格な部分に対しては正しく統語構造を構築できるため, 不適格文であっても, その意味内容を翻訳結果としてある程度再現することが可能である。翻訳実験の結果, 従来の手法で48.9%であった翻訳正解率が60.8%に向上しており, 本手法の有効性を確認した。
一般社団法人情報処理学会の論文
1997-09-24

話し言葉における文法的不適格文に対する漸進的翻訳手法

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