生体高分子表面積の高速計算アルゴリズム

概要

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タンパク質や核酸など生体高分子の立体構造予測に関する研究では, 溶媒(主として水)の効果を誘電率として暗に取り入れているに過ぎず, 水和自由エネルギーを計算しているわけではなかった。このため, 最小エネルギー構造とネイティブ構造は必ずしも一致していない。また, RISM理論やスケール粒子理論などexplicitに溶媒を扱う水和自由エネルギーの計算方法では, 長い計算時間を必要とするため, シミュレーションへの導入は現実的ではないとされでいる。そこで, われわれは水和自由エネルギーを高速に計算することでこれらの問題を回避し, 分子量の大きな生体高分子を対象として, 水和自由エネルギーをも含んだ立体構造予測シミュレーションを行うことを目指している。水和自由エネルギーは, 分子の溶媒接触表面積(solvent accessible surface area)に比例するものとし, それぞれの原子団ごとに経験的方法により求められているパラメータを用いて計算することで, 従来の方法に比べで高速に計算できる。原子団iの溶媒接触表面積をA_i, パラメータをσ_iとすると, 分子の水和自由エネルギーE_sは以下の式で表される。E_s=Σ___i=σ_iA_i (1), この方法では分子の表面積を高速に計算することにより水和自由エネルギーを高速に計算することが可能となる。そこで, 本研究では分子表面積の高速計算アルゴリズムを提案し, 生体高分子の表面積と水和自由エネルギー計算に応用した例を示す。
社団法人情報処理学会の論文
1997-09-24

生体高分子表面積の高速計算アルゴリズム

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