顔の陰影パターンに基づいた表情の解析 : 顔領域からのしわの抽出

概要

論文の詳細を見る
近年、顔画像を用いた表情解析に関する研究が盛んに行われている。計算機で表情を認識させる場合、表情を数値化しなければならず、この処理が非常に因難なために、現在に至っても実用となるシステムが存在しない。著者らは、顔を表す特徴量として自動抽出の簡単な、顔領域における濃淡分布の利用を提案しており、これが表情の変化を十分反映するものであることを確認している。濃淡画像では、顔は一つの濃淡パターンとみなすことができ、「笑う」などある動作が生じた場合に、それと対応した万人に共通なパターンの変化を得ることができる。このようなパターンは、構成要素など人の目を通してはっきりとその変化が確認できる部分から、しわなどの顔表面の微妙な陰影部分まで広い範囲に渡って存在する。著者らは、上記顔の陰影部分が顔の印象を決定するのに多大な影響を与えているものと考えた。本報告では、表情の変化によって出現する陰影、つまり"しわ"に着目し、これが表情の変化過程において何らかのパターンを有するものであろうと考え、顔領域から"しわ"を抽出する手法について検討を行った結果を述べる。
一般社団法人情報処理学会の論文
1992-09-28