オブジェクト指向ソフトウエアの保守・再利用を支援するエディタ
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概要
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オブジェクト指向をソフトウエア開発に適用する理由の一つは、繰り返し型の開発が行いやすくメンテナンスや再利用が容易になることが期待できることである。繰り返し型の開発では、既に作られたソフトウェアを検索したり変更を加えたりを頻繁に行なう。このため既存のソフトウエアを理解することが重要な役割を果たす。ところが、オブジェクト指向のソフトウェアを理解することは難しい。これは次のような理由による:(1)インヘリタンスによる差分プログラミングは本来ひとまとまりの機能・構造を断片化・分散化する。(2)多相性と動的束縛はプログラムの構成要素間の関係を複雑にする。(3)オブジェクト指向プログラムは手続きのひとつひとつが短く、数が膨大になる傾向がある。(4)プログラム言語の特徴として、C++では関数の多義定義や自動型変換などの多くの機能があることから、複雑なプログラムができやすい。オブジェクト指向プログラムの理解の難しさを低減するために、我々はプログラムを種々の表現形式でグラフィカルに表示するツールを作成した.このツールを使用することによって得られた知見のひとつは、プログラムを理解することとプログラムを書くことは分離できないプロセスであることである。プログラムを理解しなければそれを使う部分を書けないし、プログラムを書かなければ理解すべき対象を特定できない。このためユーザは、このツールとテキスト・エディタの間を往復しつつ作業を行なっていた。ここでプログラムを書くことと理解することを同時にサポートできれば、2つの間での情報の対応付けや受渡しをユーザが行なう必要がなくなり、より便利になる。そこで我々は、日頃使っているエディタにプログラム理解のための機能を付加したツールを開発した。このツールは、プログラムの構成要素間の関係を管理し、それに基づいてソース・コードのナビゲーションを支援する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-09-20
著者
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中村 宏明
日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所
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三ッ井 欽一
日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所
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三ッ井 欽一
日本アイビーエム株式会社東京基礎研究所
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B.Lange Danny
日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所
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