離散的流束保存性をもったベクトル場データの補間法と力線可視化

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近年,大規模な物理モデルの数値シミュレーションが可能になるのに伴い,そこで得られる大量の出力データから望む物理情報をどの様に抽出するかという問題が生じている.流体やMHD(磁気流体)の数値シミュレーションでは流速や磁場などのベクトルデータが扱われる.このようなデータからベクトル場のもつ位相学的な構造を調べる時,流線や磁力線がしばしば用いられる.しかし,一般に力線は発散があると消滅しうるから,力線可視化の際はベクトル場の流束量と発散量の関係に注意すべきである.一方で,力線は一般的に初期値問題としてそのベクトル場上の追跡により得られる.その際,力線上の全区間に渡ってそのベクトル場を連続的に知る必要があるので,もととなる離散的ベクトルデータは何らかの方法で補間されていなければならない.我々は,この補間を考える上で,保存形式の差分スキームを用いるほとんどの数値シミュレーションで,(質量やエネルギーが離散的に保存される様に)運動量や磁場が離散的に流束保存性を満たす事を考慮した.我々の提案する方法は,離散的流束保存性を持ったベクトルデータから連続的な意味で流束保存性を満たすベクトル場を生成する.例えば,非圧縮流や磁場はソレノイダルであり,その力線は完全に発散がない事が保証されるべきである.もしそのベクトルデータが離散的にソレノイダルならば,我々の方法で補間して得られるベクトル場は厳密に連続的にソレノイダルとなる.本講演ではこの補間法を示し,力線追跡問題への適用例を示す.
1993-09-27

離散的流束保存性をもったベクトル場データの補間法と力線可視化

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