実世界データベース : (1)基礎的検討
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概要
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学術領域における情報量は,1960年代以後急激な増加の時期に入る. 新たに創刊される学術雑誌の数も近年とみに増加の傾向が著しい.反面,後発の情報媒体の市場占有率の伸長が停頓状態にあることも指摘されている.情報の需給関係の不均衡,つまり需要不在のまま情報生産が加速されている情況の反映とみるべきである.その理由は,情報の大半が利用者の存在を前提としていないことに求められよう.需要を顧慮しない主観的価値判断に基づく個別認識の産物は,生産者の特性によって規模と記述構造が異なるとしても,本質的な個別性と局所性から脱却することは困難である.特に還元論的研究では,観測の視野の縮小に比例して観測の密度が増大するため,単位情報の知的エネルギー含量は相対的に減少し,その結果,認識産物に対する一般的需要の退潮がさらに顕著となろう.このような情報環境を認識することなく情報処理や通信の技術を導入しても,効果的な認識生産は期待できない.また,こうした情況は社会の他の領域においても例外ではないと思われる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1990-03-14
著者
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