オブジェクトの堆積・連結モデルに基づくウィンドウ・システム

概要

論文の詳細を見る
オプジェクトの堆積(object-stacking)とは、object-basedシステムを構造化するためのモデルである。その特徴は、一様なインタフェースを持つオブジェクトを結合することで、それらが持つ機能を統合して利用する点にある。そのモデルの有効性は、すでに分散型オベレーティング・システムにおける高機能ファイル・システムを構築する場而において確認している。この論文では、オブジェクトの堆積の考え方をウインドウ・システムに適用する方法について述べる。ウィンドウ・システムは、高度な利用者インタフェースを実現する上で不可欠なものである。本研究の目的は、オブジェクトの堆積の考え方をウィンドウ・システムに適用することで、その機能を効率的に高度化することである。さらに、結果としてウィンドウ・システム全体の実現を容易にする。この論文では、ウィンドウ・アプリケーションとウインドウ・カーネルの間でブロセス間通信を行うようなウィンドウ・システムを考える。例として、Xウィンドウ・システムがあげられる。ウインドウ・システムにおけるプロセス間通信の特徴として、ウインドウ・アプリケーションとウインドウ・カーネルの双方が、能動的にメッセージを送信することがあげられる。この性質を活用するために、オブジェクトの堆積モデルを拡張し、オブジェクトの連結モデルを提案する。この論文では、次のような言葉を用いる。(1)クライアントとザーバ:これらの言葉は、プロセス間通信におけるクライアント・サーバ・モデルに基づくものとする。すなわち、プロセス間通信のパタンにより、最初にメッセージを送る方をクライアント、受ける方をサーバと呼ぶ。クライアント・サーバモデルは、本来対称的なプロセスを最初にメッセージを送る方と受ける方に分類することで、プロセス通信のプログラムを記述しやすくするものである。(この論文では、サーバという「言葉をサービスを提供するものという意味では用いない。)(2)ウィンドウ・カーネルとウィンドウ・アプリケーション:前者は、ディスプレーやキーボードを管理するもの、後者は、前者に働きかけてウインドウを表示させるものである。(Xウィンドウ・システムでは、それぞれサーバとクライアントと呼ばれている。)
一般社団法人情報処理学会の論文
1994-03-07

オブジェクトの堆積・連結モデルに基づくウィンドウ・システム

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク