V60リアルタイムOSにおけるフォルトトレラント機能
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概要
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本稿では、V60用のリアルタイムOSの耐故障性機能について述べる。システムの一部に障害が発生してもサービスを継続できる耐故障性機能が、特に制御システム等の分野で必要とされてきた。このようなシステムでは、プロセッサ、メモリ、バス、ディスク等を複数使用して冗長系を構成し、異常発生時に自動的に障害部分を検出、切離すことにより耐故障性を実現している。しかしこのためには冗長なハードウェア構成が必要とされるため、従来それらの多くは専用システムとして実現されてきた。また応用分野も、高価な専用システムを用いてでも耐故障性が必要とされるような分野に限られていた。最近では、こうしたハードウェアはマイクロプロセッサやVLSIメモリを使用する事で極めて安価に実現可能になってきており、またV60のような高機能なマイクロプロセッサでは、障害検出をサポートする機能がチップ上に組込まれ、わずかな付加的ハードウェアにより冗長系を構成できるようになってきた。一方、マイクロプロセッサの処理能力が飛躍的に向上するにつれて、マイクロプロセッサを搭載したシステムが社会的にも重要度の高い分野で使用されるようになり、これに伴なってより高い信頼性が要求されるようになってきた。本OSでは、耐故障性機能のうちハードウェア構成に依存した部分とそうでない部分を分離し、非依存部の処理を部品化して提供し、また依存部をユーザ記述可能とすることで、汎用のOSとして種々の冗長構成に対応できる耐故障性機能を提供している。本稿では特にリアルタイム機に組込まれた耐故障性機能を中心に報告する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01
著者
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古城 隆
日本電気(株)C&C共通ソフトウェア開発本部基本システム開発部
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下島 健彦
日本電気(株)c&c共通ソフトウェア開(本)基本システム開発部
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小泉 正
日本電気
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小泉 正
日本電気(株)C&C共通ソフトウェア開発本部
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鶴見 かよ子
日本電気(株)マイクロコンピュータソフトウェア開発本部
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世良 孝文
日本電気(株)マイクロコンピュータソフトウェア開発本部
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古城 隆
日本電気(株)c&c共通ソフトウェア開(本)基本システム開発部
-
小泉 正
日本電気(株)c&c共通ソフトウェア開発本部
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