閉鎖系に於ける藻類の従属栄養培養
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概要
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有機栄養と光が存在すれば, かなり嫌気的な条件下でも生育する単細胞藻類多数を分離したが, 脱気して純窒素ガスで置換し, 酸素吸収剤および二酸化炭素吸収剤と共に密封し, 照明下に振盪培養したとき生育したのは, 供試217株中, Chlorellaに属する2株のみであった.これら2株は, 嫌気条件がきびしくないときは, 無機塩, ビタミン, ブドウ糖もしくは酢酸塩があれば生育するが, 前期のきびしい嫌気培養の場合は, これらの他にペプトンまたは酵母エキス等の添加が生育のために不可欠であり, また, ペプトン等を充分に加えても, 光合成に於ける酸素発生機構阻害剤パラクロロフェニル 1,1ジメチル尿素(CMU)を10^<-5>モル程度加えておくと生育しない.以上の結果から, 藻類は嫌気的に生育するように見える株であっても, 光合成により生じた微量の分子状酸素が必要なものと思われる.しかし, 酸素吸収剤, 二酸化炭素吸収剤を封入しない有機培地照明下閉鎖培養なら, 多くの藻類が生育し, Chlorella pyrenoidosa C-28 株の場合, ブドウ糖 100mgから 71.8mgの乾燥藻体を生じた.これは, 照明下好気培養の66.8mg, 暗所好気培養の47.9mgより, かえって藻体収率が高く, 通気を要しない藻類の照明下閉鎖培養は, 食糧生産を兼ねた有機質汚水の処理法として有望なものと言える.
- 1974-04-25
著者
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