ウレアーゼ-コラーゲン膜におけるアンモニアの挙動
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概要
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著書らは酵素を含有するコラーゲン膜を電気化学的に調製する方法を案出した. この酵素膜の応用の1つとして, この酵素膜と電気化学的方法を組合せた新しい計測装置の開発を試みている. その例として, カタラーゼ膜を用いる過酸化水素, ウリカーゼ膜を用いる尿酸, アルコールデヒドロゲナーゼを用いるアルコール, 乳酸デヒドロゲナーゼを用いる乳酸などの定量装置を試作した. これらの装置で所定の成分を分析する場合, 酵素反応生成物の電極への拡散量がその装置の感度を支配するものと考えられる.本報はウレアーゼ-コラーゲン膜を用い, 生成するアンモニアの挙動について検討し, 尿素定量装置の基礎資料とする事にした.各室定量40mlのアクリル製セルの中間に, 0.68cm^2のウレアーゼ-コラーゲン膜を挿入し, 左室に0.2Mのリン酸緩衝液 (pH7.0) と所定量の尿素を, 右室にリン酸緩衝液のみを入れて, 酵素反応を行なった.その結果, 反応で生成したアンモニアの75%が左室すなわち基質溶液中に見い出された. 一方右室側に拡散するアンモニア量は全生成アンモニアの1/4であった. 以上の結果から, 主に左室のウレアーゼ-コラーゲン膜の表面近傍で酵素反応が起こり生成したアンモニアは基質液中に拡散するものと考えられた. 一方コラーゲン膜中では基質, 生成物の拡散が遅いため, 右室側へ拡散するアンモニア量が左室側に比べ少量である. 尿素加水分解の速度と基質濃度との関係から, コラーゲン膜中のウレアーゼの反応は基質の拡散が律速になっていることが示された. しかしながら左室側に存在するアンモニアが右室側に比べ多いため, 全反応はみかけ上ミカエリス-メンテン機構に従がう.またコラーゲン膜中の酵素反応は基質の拡散が律速であることは熱力学的にも示された.これらの結果から, 尿素計測装置へウレアーゼ-コラーゲン膜を応用する場合, 感度を向上させるために, 酵素反応生成物, この場合にはアンモニアの膜透過を増加させるような工夫が必要である事が示唆された.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1975-08-25
著者
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