林床におけるミズナラ種子の消失
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概要
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日光国有林のミズナラ林で, 林床におけるミズナラ種子の消失を調べた。1972年には, 1m^2の方形区を約50個ずつ2か所の林分におき, 9月から約2週間おきに方形区内の種子を数え, シードトラップで集めた種子数と比較した。1973年には4林分に方形区をおいた。そのうち3林分は不作だったため, 他の林分で集めた種子を散布し, 翌年の5月に調べた。また1973年には, いろいろなメッシュの金網を張ったケージにも種子を散布し, 翌年の5月に調べた。1972年の試験から, 林床の種子は落下が終了するころからなくなりはじめることと, そのなくなり方は落下種子の多い方形区ほどはげしいことがわかった。1973〜74年の試験では, 林床に人為的に散布した林分では99%以上, 人為的に散布しなかった林分では96%以上の種子が翌年の5月までになくなった。ケージに入れた種子は, 1.5mmメッシュのケージを除き, 全部なくなった。ケージ内や林床には野ネズミの穴があいており, そのまわりにはミズナラ種子の外皮が散らばっているのが観察された。これらの結果から, ミズナラ種子の消失にはシカやサルなどのほかに野ネズミも大きな役割を果たすと考えた。調査林分で捕獲された野ネズミはアカネズミ・ヒメネズミ・ハタネズミであった。
- 1976-02-25
著者
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