清澄山におけるヒメネズミ個体群の生態学的研究(II) : 社会構造とその役割
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概要
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相異なる三つの環境条件下の, ヒメネズミ個体群における定住性と平面的な個体群構造の分析を通して, 本種の社会構造を考察した。再捕獲された期間を定住性の指標としてみると, 雄は雌より強い定住性を示した。次に捕獲場所の重複の程度から種内関係を推察したところ, 雄と雌の間の誘引性が最も高く, ついで仔と成体となった。最も反発性の強いのは雌同士であった。比較的定住性が強い個体の多かった環境下では, 特定の雄と雌との間に, 定住期間と定住場所を共有する関係が認められた。このことは, 当該の雌雄間に番が形成されているものと推定される。番関係のもとでは繁殖と育児が保証され, 育児には雄も重要な役割を果たしていることが示唆された。したがって, ヒメネズミでは好条件下で番が成立し, これが本種の社会構造の基本単位になっていると考えられる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1982-07-25
著者
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