房総東南部における山地崩壊跡地の植生回復について

概要

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本研究では, 崩壊地斜面を立地別に層別化して, それぞれの区(図-1)の植生回復の違いについて, 遷移の立場から状態診断を試みた。これは, 崩壊地における植生回復のための施業の指針となる資料を得ることを目的としたものである。1)積算優占度(SDR_2)による種類組成(表-1)からみると種類数はC>B>Aとなり, 1年目に対する2年目の種類数の増加率もこの順に高かった。各区ともススキが最も優占し, 土層の厚いC区では, つる植物, 常緑広葉樹などの侵入が見られ, 遷移の進行の速さはC>B>Aであることを示した。2)種類別成長量(伸長量)の比較(図-2)では, 生育立地の良さはC>B>Aの順で遷移の進行の速さとも並行していることを認めることができた。3)各区の生活型組成を比較(図-3,図-4)することによって区の違いによる植生回復の状態診断資料が得られ, ミクロなレベルでの生育立地の違いが認められた。薄い土層のA区は, 他の区より二次遷移初期の状態がよく出ていた。C区は, 各生活型間の量的差異は減少して生活型の多様性は強くなっている。生活型組成からみると遷移の進行の速さは, C>B>Aであることがわかった。4)上記の種類組成, 種類別成長量, 生活型組成からの植生回復に関する診断結果と遷移度DS=[(Σd・l)/n]・υとの算出結果(表-2)とはよく一致していた。5)遷移診断の結果, 遷移の進行の速さはC>B>Aで, この順位と並行して植生回復の進行が認められた。従って, C区のような土地条件をできる限りつくることが, 植生回復において必要であろう。
日本森林学会の論文
1973-12-25

房総東南部における山地崩壊跡地の植生回復について

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