ポプラの葯培養におけるカルス誘導と器官分化
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概要
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雑種ポプラ(Populus Sieboldii×P.grandidentata)3個体, P.MaximowicziiとP.deltoides各1個体の雄株を用い, 葯からのカルス誘導と器官分化に与える生長調整物質の効果を調べた。基礎培地はWOLTER and SKOOG培地(WS-培地)とMILLER培地(M-培地)を用い, auxinとしてNAA, IBA, 2・4-Dを, cytokininとしてBAP(N^6-benzylaminopurine)を, いろいろな濃度で組み合わせて加えた。得られた結果は次のとおりである。1)カルス誘導に及ぼすauxin類とBAPの組み合わせ加用の効果-雑種ポプラは低濃度のNAA(2×10^<-7>M)とBAPを組み合わせて加えたWS-培地上でのみよくカルスを形成し, ときとして誘導されたカルス上に直接小茎葉を分化した。しカし, 低濃度のIBA, 2・4-Dおよび高濃度のNAA, 2・4-Dの効果は認められなかった。P.Maximowicziiは, 用いたすべての濃度の2・4-DとBAPを含むWS-培地(M-培地では高濃度でのみ), および高濃度のNAAとBAPを加えたWS-培地でカルス誘導が可能であった。しかし, P.deltoidesではWS-培地に高濃度の2・4-DまたはNAAをBAPと組み合わせ加えたときにのみカルスが形成された。2)雑種ポプラからの根と茎葉の分化-雑種ポプラカルスを小茎葉(2mm以上), きわめて小さい茎葉をもつカルスおよびカルスのみに分け, WS-培地に移植した。BAPなしで, NAAを3.16×10^<-7>, 1.00×10^<-6>または3.16×10^<-6>M加えた培地上の小茎葉またはカルスからよく根を分化し, 小茎葉は発根と同時に伸長して完全な植物体となった。BAPを1.00×10^<-6>M(3.16×10^<-7>, 1.00×10^<-6>M NAAの存在下)または3.16×10^<-6>M(3.16×10^<-7>M NAAの存在下)加えた培地上のカルスあるいはきわめて小さい茎葉をもったカルスから新しい茎葉を分化・伸長させたが, これより高濃度では茎葉分化の効果がなかった。3)得られた植物体の染色体数-茎葉と根をもった完全な植物体の根端を用いて染色体数を調べた結果, 今までのところすべて2倍体で, まだ半数体を確認していない。
- 日本森林学会の論文
- 1974-02-25
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