養菌性キクイムシと共生する数種アンブロシア菌のタンパク質電気泳動

概要

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SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて4主の養菌性キクイムシ、クスノオオキクイムシ、ミカドキクイムシ、ハネミジカキクイムシ、サクキクイムシと共生する7種のアンブロシア菌のタンパク質分析を行い、その泳動パターンから菌種間の類似性を調べた。その結果、各キクイムシの主要な栄養源とされるAmbrosiella spp.は、副次的共生菌と考えられているPaecilomyces sp.やCandida sp.より多数の明瞭なバンドを持ち、またキクイムシ種特異的な泳動パターンを示した。ミカドキクイムシのAmbrosiella sp.は他属の3種とかなり疎遠であり、一方、多くの共通する生活様式を持つクスノオオキクイムシとハネミジカキクイムシのAmbrosiella sp.はその近縁度が極めて高かった。以上のことから、これら4種の養菌性キクイムシは同一樹木内で共存しながら独自のAmbrosiella sp.と共生関係を成立させており、またキクイムシの生態学的特徴、特に坑道型や胞子貯蔵器官の類似性が高いほど、共生するアンブロシア菌はより近縁であることが示唆された。
1994-01-01