ミカドキクイムシのアンブロシア共生菌 : 生育段階別の坑道内および胞子貯蔵器官内の菌相の遷移
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
養菌性キクイムシの1種であるミカドキクイムシのアンブロシア共生菌について, キクイムシの坑道内および成虫の胞子貯蔵器官(mycangium)内からの菌の分離とSEMによる坑道内壁の直接観察を行い, キクイムシの生育に伴う菌相の変化を明らかにした。共生菌相および坑道内の状態は, キクイムシの生育段階によって著しく変化していた。卵, 幼虫期の幼虫孔内ではAmbrosiella sp.が最も優占的であり, 酵母の1種Candida sp.がこれに続いていたが, 羽化期以降はほとんどPaecilomyces sp.のみが出現した。このAmbrosiella sp.は, 幼虫〜蛹期の母孔および羽化直後と分散, 穿入期の成虫の胞子貯蔵器官からも高い割合で分離された。一方越冬期には, 坑道内, 胞子貯蔵器官のいずれの部分においてもPaecilomyces sp.が優占していた。これらの結果より, ミカドキクイムシの最も主要な共生菌がAmbrosiella sp.であること, また新成虫による共生菌の胞子の取り込みが, 蛹室(幼虫孔)内において羽化直後に行われることが明らかにされた。
- 日本森林学会の論文
- 1991-05-01
著者
関連論文
- E410 マツ穿孔虫に寄生するコマユバチ2種の野外における寄主資源利用(寄生・捕食関係・生物的防除)
- 寄主植物のシュートサイズとフェノロジーの変異がタマバチのゴールの空間分布に及ぼす影響(Journal of Forest Research)
- 日本の亜熱帯林における土壌性節足動物の多様性維持機能としてのオオタニワタリ
- 養菌性キクイムシと共生する数種アンブロシア菌のタンパク質電気泳動
- 古くて新しき課題 : 森林昆虫の個体群動態研究(コメント,宮地賞受賞者総説)
- 森林における樹上節足動物相 : II.現存量および個体数によって推察されたヒノキ人工林における節足動物の群集構造
- 森林における樹上節足動物相 : I.ヒノキ人工林における, 密度, 現存量, 及び群集構成の季節変動に関する予備調査
- ナガキクイムシ2種によるナラ類の集団枯損に関する予備的研究 : 穿孔密度および空間分布について
- 日本の亜熱帯林内におけるササラダニの風分散様式
- 日本の広葉樹における樹冠生息性ササラダニの採取効率 : 洗浄法と直接法の比較
- 日本の広葉樹における樹冠生息性ササラダニの採取効率 : 洗浄法と直接法の比較
- 樹木生理生態学, 小池孝良編, 朝倉書店, 2004年6月, 264ページ, 4800円+税, ISBN4-254-47037-1
- 2000年9月12日に発生した名古屋大学演習林庁舎における豪雨禍の記録
- 森林における昆虫と菌の共生機構 : アンブロシアキクイムシとキバチ(森林と微生物の共存)
- 酸性降下物が森林の生物群集の相互作用に与える影響 : 3.大気汚染が森林の植食性昆虫の個体群動態に与える影響
- 酸性降下物が森林の生物群集の相互作用に与える影響 : 2.酸性降下物が樹木と微生物の相互作用に及ぼす影響
- 酸性降下物が森林の生物群集の相互作用に与える影響 : 1.酸性降下物が土壌動物と分解微生物の相互作用に与える影響
- Monograph of the new species of bark beetles and ambrosia beetles (Coleoptera: scolytidae and platypodidae) from some tropical countries, intercepted at Japanese ports : Shizuo Ohno Collection
- ニトベキバチ(Sirex nitobei)の体サイズと次世代生産能力
- ミカドキクイムシのアンブロシア共生菌 : 生育段階別の坑道内および胞子貯蔵器官内の菌相の遷移
- キクイムシ坑道周辺の木材組織にみられる変色および菌の侵入様式について〔英文〕
- Xylosandrus属2種のキクイムシの共生菌
- 材線虫病抵抗性マツの組織培養による苗木生産-1-〔英文〕
- マツヅアカシンムシ個体群の年変動(第4回森林動物シンポジウム)
- DDT乳剤の砂土滲透試験