水源山地を対象とした長期流出モデルとハモン式を用いた場合の蒸発散係数の季節変化

概要

論文の詳細を見る
水源山地の長期的な流出量は、それに用いる長期流出モデルはもとより、そのモデルの蒸発散の取扱いが重要であると思われる。しかし、現段階では、長期流出モデルに直接的に利用できる蒸発散モデルは確立されていない。そこで、既往の蒸発散能に任意の係数(蒸発散係数)を考慮することによって、蒸発散量を推定することになる。本研究は、この蒸発散係数を年間を通して一定とした場合とそれを月別に変化させた場合について、流出量の精度および水文現象の合理性について検討した。本研究の蒸発散能としてはハモン式を用いた。適用流域は東京大学農学部付属愛知演習林東山流域である。本研究に用いた長期流出モデルは筆者が開発したものであるが、流出モデルおよび蒸発散モデルからなっている。蒸発散係数が年間を通して一定とした場合(Aモデル)の流出量の相対誤差率は22.1%であるが、それが月別に変化させた場合(Bモデル)のそれは17.1%であって、後者が精度で5%向上した。蒸発散係数は冬期に大きく、夏期に小さくなる傾向を示したが、この傾向は同演習林白坂流域でも同様であることを確認した。また、本研究での蒸発散は毛管水貯留量と重力水貯留量から消失すると考えて設定したが、Aモデルでは重力水貯留量からの蒸発散量は無視された。このような現象は実際の水文現象とは異なると思われる。なお、Bモデルでは上記の水文現象の不合理性は解消された。以上のことから、長期的な流出解析には蒸発散係数の取扱いが重要であることがわかった。
一般社団法人日本森林学会の論文
1989-03-01

水源山地を対象とした長期流出モデルとハモン式を用いた場合の蒸発散係数の季節変化

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク