気管支カルチノイドの臨床病理学的検討

概要

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気管支カルチノイドの5例を報告する。このうち気管支鏡で表面平滑なポリープ状腫瘤が2例に認められた。これら2例のうち1例は左主気管支に発生し左全無気肺を呈した定型例であり, ポリープ状腫瘤は緊満状で表面に毛細血管の増生が強く, 易出血性であり, 生検は困難であった。他の1例は画像上左S^<10>の腫瘤影を呈する非定型例であり, ポリープ状腫瘤の表面の毛細血管の増生は軽微で, 生検時の出血は少量であった。残りの3例は, 末梢型でいずれも画像上辺縁が整の腫瘤影を呈していた。特に, 左S^<1+2>の腫瘍は前縦隔の胸膜に広く接して存在し, 胸腺腫との鑑別が困難であった。末梢型の3例の組織型はいずれも定型例であった。5例中4例に気管支鏡検査が行われ生検された3例はカルチノイドの診断がなされた。切除後に診断された他の2例のうち1例は気管支鏡にてカルチノイドが疑われたが易出血性のため生検を施行しなかったもので, 他の1例は縦隔腫瘍の術前診断で気管支鏡を施行しなかった例である。治療は, 左主気管支発生の1例はSleeve resection, 他の4例は葉切除を施行した。手術後6年から1年経過しているがいずれも再発をしていない。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1994-03-25