逓増動的醗酵法に依る清酒の製造に関する研究 (第5報) : 澱粉原料酸糖化の条件決定に就て(其3)酸糖化条件と醗酵との関係
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概要
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1) 澱粉原料酸糖化の条件決定として酸糖化条件と醗酵との関係を究めた。 2) 仮糖化率に就て説明した。 3) 酸糖化条件が異るに従ひ醗酵状態に著しき差異のある事を認め酸液量の小なるもの程又SPの大なるもの程醗酵阻害物質が多く生成され醗酵初期に於ける醗酵速度は少である。 4) 醗酵完了迄に要する時間は或るSPに於て最小にしてそれ前後に於て長くなる、その原因を最適以上にSPを使用せるものは酸量過大の為に醗酵阻害物質を多量に分解生成せし事、及最適以下のSPを使用せるものに於ては酸量不足の為に糖化液に於ける含窒素化合物其他酵母の栄養源となるべき物質が不足せし事を以て説明した。 5) 非醗酵性還元性物質の生成は醗酵性糖の生成程鋭感に酸糖化条件に依り支配される事なきを述べこれに依り仮糖化率小なるものの糖利用率の小なる原因を説明した。 6) 酒精生成量は総体的には SP 2.0,2.5 及3.0%の順に増加するも酸糖化条件を適当に選択するに依り SP 2.5%に於ても SP 3.0%に優るとも劣らざるものが得られる。 7) 酒精生成率は大体同様な値を示すが SP 小なるものに於ては酸液量培養の増加と共に大となり 100 %以上に達する事がある。これを見掛けの糖消費量を以て説明した。 8) 酸糖化法に依る糖液の糖利用率及酒精生成速度は酵素糖化法に依るものに比して相当大である。 9) 酸糖化法に依る糖液に於ける糖利用率は酸糖化条件に依り支配せられ適当なる酸糖化条件に於ては88%以上に達せしめる事は容易である。又酒精生成速度も酸糖化条件に依り支配され酸絶対量使用率の最適以外に於ては最適酸絶対量使用率のものに比し長時間を要する。其の原因を醗酵阻害物質の生成と酵母栄養源の不足を以て説明した。 10) 逓増動的醗酵法に依り清酒を製造する場合の糖液の製造法は酸糖化法に依る事が有利である事を実験的に證明した。 11) 酒精工業に於て澱粉原料の糖化を酸糖化法に依り遂行する事に依り酒精収得歩合を増加せしめ得る事を述べた。 12) 酒精工業に於て澱粉原料の糖化を酸糖化法に依り遂行し且つ澱粉原料の適当なる配合と酸糖化条件の適当なる選択に依り清酒酵母を酒精工業に使用し得る可能性ある事を認めこれに依り濃糖醪を用ひ醪の酒精含有量を増大して蒸溜に要する燃料を減少せしめ得る事を述べた。 13) 酵母糸状菌の培養基として穀類酸糖化液の優れて居る事を述べた。
- 公益社団法人日本生物工学会の論文
- 1938-11-15
著者
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