アブラナ科植物に病原性あるタバコ・モザイク・ウイルスの系統に関する研究 : 1. 理学的, 化学的研究
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概要
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日本においてアブラナ科植物から分離されたTMVの系統, TMV-Cとワサビ系統(W)はその外被たんぱく質に特異なアミノ酸, ヒスチジンとメチオニンを含み, そのアミノ酸組成はHolmes' ribgrass strain (HR)に似ている。TMV-Cのカルボキシル末端アミノ酸はスレオニンであったが, WのたんぱくからはカルボキシペプチダーゼAおよびB処理で遊離のアミノ酸を得ることができなかった。日本産トマト系TMVであるTMV-L(L)の外被たんぱく質のアミノ酸組成はメチオニンを含み, Y-TAMVに似ている。pH3.8のポリアクリルアマイドゲル電気泳動においてTMV-C, HRおよびLychnis系統(Ly)のたんぱく質はほとんど同じ速さで泳動したが, Wのたんぱくはもっと早く, Lはもっと遅く泳動した。普通型TMVであるOM, Oおよびvulgareなどのたんぱくは同じ速さで泳動し, Wのたんぱくもこれとほぼ同じ速さで泳動した。紫外線による不活性化に対し, HR, LyおよびTMV-Cは同程度の感受性を示し, OMの約3倍, Wはもっと感受性が高く, OMの約4倍であった。06およびcowpea mosaic virusのタバコ型, これは同上のウイルスをサムスンタバコに接種して得たものであるが, これらはvulgareとほぼ同程度に不活化され, OMはvulgareより感受性が高かった。Lとcowpea mosaic virusのインゲン型はOMの約1.5倍の感受性であった。上述のことからTMV-C, HRおよびLyはHRによって代表されるTMVの系統群に属すると考えられるが, Wについてはそのたんぱく質のアミノ酸組成がHR, LyおよびTMV-Cに類似しているが, いずれの群に属するかは決定することができなかった。
- 日本植物病理学会の論文
- 1971-12-20
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