イネ赤色菌核病菌系統の水田における分布様相とイネに対する病原性
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概要
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名古屋市近郊のTおよびN地域から1981〜1990年にイネ赤色菌核病菌をイネの罹病茎から分離した。その菌株について菌糸融合による類別 (本報告では系統と呼ぶ) を行い, 赤色菌核病菌系統の水田における分布およびイネに対する病原性について検討した。T地域における調査では, 1水田 (TO, 調査地点数 : 35) で11系統, その近隣の18水田 (1水田あたりの調査地点数 : 6〜8) から, 14系統が確認された。TO水田内より得られた11系統中の2系統は近隣の6水田においても分布しており, またこのTO水田中の1系統と近隣水田からの1系統の計2系統は, 断続的ではあるが5〜7年間のうち3〜4年にわたって全調査水田のうちの1/3ないし半数の水田に分布していることが確認された。しかも, 同一年度に同一の系統が最大で130〜140m離れた水田に分布し本病の発生に関係していることが認められた。また, 他のN地域の調査においても, 1水田 (NE, 同 : 40) 内で見られた9系統中の1系統は, 2年後に近隣の1水田に分布していることが分かった。各系統の出穂期イネへの接種実験の結果によると, 1水田内で2年以上にわたり分離された系統は1年しか分離されなかった系統に比べて, 被害度および発病茎率が高かった。しかし, 1年しか分離されなかった系統の中にも高い被害度および発病茎率を示すものがあった。
- 日本植物病理学会の論文
- 1996-08-25
著者
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