強酸性土壌におけるジャガイモそうか病の多発生とそれに関与するStreptomyces属菌
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概要
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佐賀県上場地域の畑作地帯において, 5か年にわたる現地調査の結果からpH5.2以下の強酸性土壌においてもジャガイモそうか病の激しい発生が認められた。その罹病塊茎からは胞子鎖の形態が直〜波状の病原Streptomyces属菌(RF型菌)が高率に分離され, その形態がらせん状の病原Streptomyces属菌(S型菌)の分離率は低かつた。この両型菌のpHに対する反応をin vitro で調べたところ, S型菌はpH4.5以下では生育しなかったのに対し, RF型菌はpH4.0まで生育し, 菌体中のATP生成の最適pHはS型菌の6.0に対してRF型菌では5.0であった。さらに, RF型菌はpH4.4の強酸性土壌でも強い病原力を示したことから, 強酸性土壌で問題となっている本病の病原菌は胞子鎖が直〜波状のStreptomyces属菌(RF型菌)であることが判明し, 我が国で強酸性土壌においてもジャガイモそうか病を引き起こす病原菌の存在が明らかとなった。
- 日本植物病理学会の論文
- 1999-04-25
著者
-
田代 暢哉
佐賀県果樹試験場
-
宮下 清貴
農業環境技術研究所環境生物部
-
宮下 清貴
農業環境技術研究所
-
松尾 良満
佐賀県上場営農センタ
-
宮下 清貴
農業環境技術研
-
松尾 良満
佐賀県上場営農センター
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