対角項スケーリングを施した共役勾配法のベクトル計算機における有効性について
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概要
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ベクトル処理を行うスーパコンプュータの能力を十分に発揮するためにはベクトル処理に適したアルゴリズムの開発が重要である.本論文ではベクトル処理能力を最大限に活用するという立場から,行列の対角項によるスケーリングを施した共役勾配法がベクトル計算機向きの高速な連立1次方程式の解法として有効であることを示す.この解法は偏徽分方程式の離散近似等で生じる正定値対称スパースな連立1次方程式の行列を対角項でスケーリングした後に共役勾配法を適用するもので,100%ベクトル処理可能なので高度のベクトル計算が実現でき,また高い収束性を保持していることによりベクトル計算機上で高速な計算ができるという特長をもつ.また,本手法は所要記憶容量も少なくて済み,プログラムも簡単である.まず,拡散方程式の有限差分近似で生じる行列を例にとり,対角項スケーリングの共役勾配法に対する前処理としての効果を論じ,それが拡散係数およびメッシュ間隔の空間的な非一様性に依存することを示す.次に,3次元拡散方程式の有限差分近似に対する様々な数値実験の結果(使用機種NEC SX-2),異方性のない場合には拡散係数が空間的に激しく変動する場合も含めて,本手法はベクトル化(M)ICCG法に比してかなりの高速性(2.5〜2.9倍)をもつこと,また有限要素法などで生じる不規則スパースな問題に対しても有効であることを示す.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-11-15
著者
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