法的推論システム HELIC-II
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概要
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法的推論システムHELIC-IIについて述べる.法的推論を計算機上で実現するためには,個々の事件の事実関係に解釈を与え,それに法的な概念を対応させる過程をいかに実現するかが大きな問題の一つとなる.HELIC-IIは条文と判例を知識源とするhybridシステムである.条文に基づく推論はルールベース推論によって,判例に基づく推論は事例ベース推論によってそれぞれ実現されている.判例に基づく推論は過去の類似の判例を参照して法的な概念を生成する.条文に基づく推論はこれらの法的な概念を使って罪責を演繹的に求める.両者は相補的に機能し,あらゆる可能な法的判断を生成する.ルールベース推論エンジンは,並列定理証明器MGTP(Model Generation Theorem Prover)をベースにして,それに幾つかの拡張を施した.事例ベース推論エンジンは,推論を類似事例の検索と適用の2段階に分けるこにより,事例の記述を容易にすると同時に並列推論の効果を高めた.出力としては,これらが導かれた過程を表す推論木がユーザに提示される.さらに推論木の理解を容易にするために,自然言語風の詳細説明も提示することができる.HELIC-IIは並列推論マシン上にインプリメントされ,並列推論によって高速に結論を導き出す.例題として刑法を対象とする実験システムを構築し,並列推論の効果を実証した.
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1994-06-15
著者
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前田 茂
(株)東芝マルチメディア技術研究所
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前田 茂
(財)新世代コンピュータ技術開発機構
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小野 昌之
(財)新世代コンピュータ技術開発機構
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新田 克己
(財)新世代コンピュータ技術開発機構
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大嶽 能久
(財)新世代コンピュータ技術開発機構
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大崎 宏
(財)日本情報処理開発協会
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坂根 清和
新日本製鐵
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大崎 宏
(財)新世代コンピュータ技術開発機構
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