(12)ナシ黒斑病菌が生産するAK毒素Iにより生じる原形質膜障害に関与する脂質過酸化に関する研究

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概要

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AK毒素I(1×10^<-6>M)を処理した感受性ニホンナシ葉の変性原形質膜から特異的に膜片が生じ,この膜片にH_2O_2が集積することが以前に報告された.原形質膜の障害に関わる膜片形成の機構を解明するため,毒素あるいは水処理した感受性と抵抗性ナシ幼果における,組織の脂質過酸化をチオビバルーツ酸を用いて生化学的に解析し,また,幼果の表皮細胞に生じる膜片量を電顕計測した.毒素処理した感受性幼果では,膜片の形成量が経時的に増加し,それに加え,過酸化脂質反応物の生成は,水処理した感受性幼果のそれと比較すると,処理後2時間後から有意に増加した.しかし,水処理あるいは毒素処理した抵抗性幼果では,膜片形成量も低く,過酸化脂質反応物は僅かしか検出されなかった.以上の結果から,感受性組織において,毒素処理により原形質膜上にH_2O_2の集積と脂質過酸化が誘導され,脂質過酸化が膜片形成に関与することが示唆された.
2003-02-25

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