トラノオガニのゾエア幼生の発生
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概要
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1979年6月,御前崎沿岸の岩礁の磯で,トラノオガニの抱卵個体を採集し,この親ガニがゾエア幼生を孵化させるまで,実験室内の水槽に放置した。えられたゾエア幼生には餌料として,アルテミアのノープリウスを充分に与えて飼育したところ,ゾエア幼生は4期をへてメガロパ幼生に変態した。本研究はケブカガニ亜科トラノオガニのゾエア全期の形態を詳細に記載するとともに,武田・三宅(1968)の報告した同種ゾエアI期との,さらに,既報のケブカガニ亜科の各種ゾエア幼生との比較を試みた。本種のゾニア全期の幼生は,甲に極めて短い前頭棘を所有し,A_3型の蝕角II,A_3型の尾節,さらに顎脚II内肢毛式3・3(6)-1-1であるのに対して,武田・三宅(1968)によるゾエアI期は,前頭棘を欠き,蝕角II A_2型,尾節A_1型,顎脚II内肢毛式5-1-1などとしている点で相.達した。本種ゾエアは,甲に痕跡的な前頭棘と背棘を,また,A_3型の蝕角IIを有することにおいて,ケブカガニ亜科の他種幼生から識別することが可能である
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