オウギガニ科2種のゾエアの発生
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概要
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Xanthidae(オウギガニ科),Pilumninae(ケブカガニ亜科)に属するヒメケブカガニPilumns minutusとトラノオガニダマシParapilumnus tripinosusの抱卵個体を御前崎付近の岩礁より採集し,実験室にて飼育し,ゾエア期幼生を得た.孵化したゾエア期幼生にはArtemia salinaのノープリウスを充分に与えて飼育した.両種ともゾエア期幼生は4期よりなり,ゾエアIV期からメガロパ幼生に変態した.得られた両種ゾエア各期の全形と付属肢の形態を詳細に記載,図示した.ヒメケブカガニについてAIKAWA(1929,1937)によるゾエアI期の記載があるが,今回の標本とは色素胞,触角II,小顎I,腹部などに相違がみられた.これらの相違は個体変異というよりは種の違いによるものと思われ,彼が種の同定を誤った可能性が考えられる.トラノオガニダマシに関しては福田(1978)がゾエア全期について簡単に報告した.今回の標本とは触角II,腹節,尾節などに相違がみられたが,微細な剛毛の見落し,または個体変異によるものと考えられる.今回の2種は腹節II〜Vの各節に1対の側棘をもつことにより,ケブカガニ亜科の他の種から区別し得る.また,ヒメケブカガニのゾエアはI〜IV期を通してトラノオガニダマシに似ているが,甲に1対の側棘をもつことでこの種から容易に区別できる.なお,これら2種を含め,ケブカガニ亜科の既知10種について触角IIの構造,甲の棘,腹節の側棘,尾節の構造などの比較を試みた.
- 1984-06-25
著者
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