気管支喘息における吸入試験の研究(III) : アレルゲンおよびアセチルコリンに対する気管支の反応性に及ぼす減感作療法の影響
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概要
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東大物療内科における気管支喘息患者で, 室内塵抽出液による吸入誘発試験陽性の16例を対象とした.これらの患者に室内塵による減感作療法(多回注射法または貯蔵注射法)をおこない療法の前後に室内塵抽出液による吸入誘発試験およびアセチルコリン吸入試験をおこなって, アレルゲンおよびアセチルコーリンに対する気管支の反応性に対する減感作療法の影響を知ろうとした.(1)全対象, 多回注射群および貯蔵注射群の夫々において, 室内塵抽出液吸入による1秒肺活量の低下度は減感作療法により有意な減少傾向を示した(2)アセチルコリンに対する気管支の反応性は, 減感作療法により著変を認めなかった.(3)減感作療法により, 16例中12例は室内塵抽出液吸入による1秒肺活量の低下度の明らかな減少を示し, その大部分は喘息症状の改善を示したが, 1例は示さなかった.残りの4例は, 1秒肺活量の低下度の不変または増加を示し, 全例で喘息症状の改善を認めなかった.よって, アレルゲン吸入誘発試験は減感作療法の効果を推定するのに有用であると考えられる.減感作療法の効果は, アレルゲン吸入による気管支からのchemical mediator産生の抑制にあると考えられる.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1964-03-30
著者
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