抗補体血清の作用機序に関する研究
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概要
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抗補体血清の作用機序を解析するために, 市販のウサギ抗ヒト補体成分血清を還元アルキル化して抗血清の補体結合能力を除いた後, ヒト補体と反応させて抗補体作用を調べた.抗補体作用の程度を, CH_<50>ならびにCIA_<50>のレベルの低下でみると, 抗Clq, 抗Cls, 抗C4, 抗C3(C3C)に抗補体作用が強く, 抗C5, 抗C9は中等度, 抗C3PAはわずかな抗補体作用しか認められなかった, この抗補体成分血清を還元アルキル化すると, 抗Cls, 抗C4の抗補体作用はほとんど影響を受けず, 抗Clqは軽度, 抗C3, 抗C5, 抗C9の抗補体作用は著明に低下し, 抗C3PAの抗補体作用はほとんど消失した.このような抗補体作用の変化は, ゲル内容血反応の阻止でみてもほぼ一致するものであった.一方, 一次元拡散法により抗補体成分血清で処置した血清のC3, C4, C3PAのレベルをみると, 抗C3が還元アルキル化後に最も強くC3のレベルを下げ, 抗C4も同様にC4のレベルを最も強く減少させたが, C3PAのレベルは, いずれの抗補体成分血清の影響も受けなかった.functionally pureなC3, C5をおのおの対応する還元アルキル化した抗血清で処置した血清に加えると, 補体価の回復は著明であったが, C1, C4, C9を同様に加えても補体価の回復はみられなかった.これらの結果は, 抗Clq, 抗Cls, 抗C4は, 抗原であるClq, Cls, C4分子上の溶血活性に近い部位に結合し, 抗C3, 抗C5は, 比較的溶血活性と離れた部位に結合するために還元アルキル化した抗血清では, 抗補体作用が低下する可能性が考えられた.抗C3PA, 抗C9については抗補体作用が弱いために, 今回の実験では, その作用機序を推察することが困難であった.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1976-06-30
著者
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