水平霜層の熱放射による上部融解に関する基礎研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
冷蔵庫や空気熱源ヒートポンプの蒸発器などに見られる低温熱交換器伝熱面上に発展する霜層は、伝熱面積の減少、霜層成長による熱抵抗および通風抵抗の増大をもたらした、熱交換器の性能を大幅に減少させる。したがって、熱交換器性能維持のため、除霜運転が必要となる。従来より行われている除霜方式には、冷凍サイクル方式(逆サイクルホットガス方式、バイパス方式、蓄熱方式)および非冷凍サイクル方式(伝熱方式、水・プライン噴射方式、機械的除去方式)に分類される。逆サイクルホットガス方式が一般に普及しているが、除霜運転時の冷却停止による機能性の低下、投入するエネルギーに対して実際の霜層融解に使われるエネルギー割合が小さいことによる経済性の問題そして除霜運転の繰返しによる冷凍機寿命の低下などさまざまな弊害を生じている現状にある。逆サイクルホットガス方式による蒸発部熱交換器の除霜は、四方弁を切り換え、蒸発部を凝縮部として働かせ、着霜伝熱管内部に導いたホットガスにより伝熱面を昇温し、除霜を行うもので、除霜時間の短縮に関する試みがなされている。さらに熱交換器内冷媒の流動停止または冷媒を排出した場合における冷却面の霜層を周囲環境による自然融解条件での除霜実験報告されているが、除霜完了まで長時間を要する結果となっている。また、微細な砂粒子の流動層により強制的に着霜円管群の除霜を試みている例もあるが、融解水の粘着力による粒子の伝熱面への固着そして流動層状態を得るための多大なエネルギー投入の問題などがあるこのように、従来の除霜方式には、さまざまな解決しなければならない問題点があるように思え、また新しい除霜方法に関する研究も非常に少ないようである。本研究においては、霜層が赤外線エネルギーを非常に良く吸収するとの報告に着目し、霜層表面へ放射熱エネルギーを外部より入射させ、霜層の融解を試みるものである。提案する除霜方法は加えた放射熱エネルギーの大部分が霜層の融解に使われるのと着霜熱交換器を冷却した状態で除霜を行える大きな特徴を有するものと思われる。本研究は、放射熱エネルギーによる霜層融解に関し、融解現象を主体とした実験を行ったもので、放射熱源の波長特性、放射強度、周囲環境条件などの外部条件と霜層の構造(密度、高さなど)および化学的特性(吸収率、反射率、透過率)などの霜層自体の特性の相互干渉効果を検討したものである。また、基礎研究の立場より、最も単純なモデルである水平冷却面に形成された霜層に上部より放射熱エネルギーを与えた場合の霜層融解(融解水を排除しない条件)を研究対象としてある。The paper presents a new defrosting method in which a frost layer is melted away by radiative heat as a heat source. The optical characteristics of the horizontal frost layer (reflectivity, transmissivity, absorptivity) are obtained under various frost melting conditions. The far-infrared lamp having a maximum wavelength of 5.5μm is selected as the optimum radiative heat source for the melting frost. The frost layer melting experiments with radiative heat are carried out under various exvironmental parameters (radiative heat flux, environmental air temperature, air humidity, cooling brine temperature) and frost structural factors of density and porosity. The useful dimensionless equations for predicting the time taken for complete frost melting are derived as a function of various frost melting parameters.
- 一般社団法人日本機械学会の論文
- 1992-11-25
著者
関連論文
- 熱伝導異方性を有する各種金属繊維層の熱伝導特性
- 低温空気を用いた凍結鋳物生成における水分含有鋳造砂型の凍結・融解挙動
- 有機系収着剤流動層の収脱着連続運転時の除湿性能
- ワイヤーコイルを用いた円管内熱伝達促進と流動抵抗軽減に関する基礎研究 : 第1報,ワイヤーコイルによる管内流動抵抗および熱伝達特性
- スチレン・ブタジエンゴム架橋プロセスの予測法(熱工学,内燃機関,動力など)
- ゴム架橋プロセスに関する研究 : 非定常温度場と架橋度の関係(熱工学,内燃機関,動力など)
- 形状安定化球状潜熱蓄熱体を用いた流動層型潜熱蓄熱槽の流動および蓄熱特性
- 直円管内を流動する界面活性剤添加有機プラインの流動抵抗と熱伝達挙動(熱工学,内燃機関,動力など)
- 熱エネルギー輸送媒体としての界面活性剤添加水溶液の粘性評価
- 低温潜熱物質を芯物質とする微細カプセル混合水を用いた蓄放冷システムに関する基礎研究 : 第3報,空気-微細カプセル化潜熱物質混合水の直接接触熱交換法による放冷熱特性
- 低温潜熱物質を芯物質とする微細カプセル混合水を用いた蓄放冷システムに関する基礎研究 : 第2報,コイル状2重管式熱交換器を用いた場合の流動および蓄冷熱特性
- 低温潜熱物質を分散体としたO/W型エマルションを用いた蓄冷システムに関する基礎研究 : 第3報,空気-エマルション直接接触熱交換法による放冷特性
- 低温潜熱物質を分散体としたO/W型エマルションを用いた蓄冷システムに関する基礎研究 : 第2報,コイル状2重管式熱交換器を用いた場合の流動および蓄冷特性
- 熱放射による傾斜霜層の融解に関する基礎研究
- 低凝固点油滴の凝固を利用した潜熱蓄冷熱に関する基礎研究 : 第5報, 低温水溶液流速を変化させた場合の浮上油滴の流動および凝固特性
- 低凝固点油滴の凝固を利用した潜熱蓄冷熱に関する基礎研究 : 第4報, 低温水溶液中を浮上するテトラデカン油滴の流動および凝固特性に関する数値計算
- 低凝固点油滴の凝固を利用した潜熱蓄冷熱に関する基礎研究 : 第3報, 粒状凝固潜熱蓄冷熱材と温空気の直接接触熱交換による放冷熱特性
- 低凝固点油滴の凝固を利用した潜熱蓄冷に関する基礎研究 : 第2報, 低温水溶液中を浮上するテトラデカン油滴の凝固および熱伝達の無次元整理式
- 低凝固点油滴の凝固を利用した潜熱蓄冷に関する基礎研究 : 第1報,低温水溶液中を浮上するテトラデカン油滴の流動および凝固特性
- 次世代の伝熱を探る
- 低温環境下における伝熱問題-34-水の凍結・氷の融解現象の工学的利用-2-
- 低温環境下における伝熱問題-35-水の凍結・氷の融解現象の工学的利用-3-
- 低温環境下における伝熱問題-33-水の凍結・氷の融解現象の工学的利用-1-
- 低温環境下における伝熱問題-32-管内気・液成層流体の凍結熱伝達
- 低温環境下における伝熱問題-31-2重管サ-モサイフォンによる地熱利用
- 低温環境下における伝熱問題-28-着霜と除霜現象について-3-
- 低温環境下における伝熱問題-30-リキッドアイスの生成と融解-2-
- 低温環境下における伝熱問題-29-リキッドアイスの生成と融解-1-
- 低温環境下における伝熱問題-26-着霜と除霜現象について-1-
- 低温環境下における伝熱問題-27-着霜と除霜現象について-2-
- 低温環境下における伝熱問題-25-多孔質層の凍結・融解-3-
- 低温環境下における伝熱問題-23-多孔質層の凍結・融解-1-
- 低温環境下における伝熱問題-24-多孔質層の凍結・融解-2-
- 低温環境下における伝熱問題-21-凍結土壌の物性-1-
- 低温環境下における伝熱問題-20-氷,雪,および海水の物性-3-
- 低温環境下における伝熱問題-22-凍結土壌の物性-2-
- 低温環境下における伝熱問題-17-着氷,船体着氷,および着雪-2-
- 低温環境下における伝熱問題-19-氷,雪,および海氷の物性-2-
- 低温環境下における伝熱問題-18-氷,雪,および海氷の物性-1-
- 減圧下の沸騰状態での固-液相マイクロカプセルスラリーの潜熱蓄熱特性
- 13-220 就職戦線から判断できる大学に必要なキャリア教育 : 大学専門科目の成績と企業の期待人材像との乖離(オーガナイズドセッション「工学教育の個性化・独自化」)
- 3-211 日本語コミュニケーション教育における効果的指導法 : 高校までの作文練習の欠如を補う演習問題による徹底訓練(オーガナイズドセッション「コミュニケーション」)
- 冷媒CFC11のマイクロフィン付き水平管内凝縮 : 圧力降下の実験式の提案
- 616 凍結鋳型のための低温空気による水分含有鋳砂の凍結挙動(熱工学XIV)
- 垂直加熱面を有する潜熱マイクロカプセルスラリー充填矩形蓄熱槽の蓄熱特性に関する数値計算(熱工学,内燃機関,動力など)
- 等温冷却壁を有する円管内を流動する潜熱マイクロカプセル混合水の蓄冷熱特性(熱工学, 内燃機関, 動力など)
- 温空気泡群と潜熱マイクロカプセルとの直接接触熱交換による蓄熱特性
- 1110 界面活性剤による流動抵抗と熱伝達低減効果に与えるブラインの種類の影響(産業・化学機械と安全,動力エネルギーシステム)
- 416 収着式冷凍機における有機系収着剤の収着挙動(熱工学III)
- 収着剤ロータを用いた複合式湿度調節システムの除湿性能
- 直円管内を流動する界面活性剤添加有機ブラインの流動抵抗と熱伝達挙動 : 第2報,有機ブラインの種類による影響(熱工学,内燃機関,動力など)
- F15 噴流と放射熱による着霜円管の昇華除霜挙動(OS4 相変化を伴う熱移動現象)
- F13 ソルビトール水溶液を用いた管内連続製氷における製氷挙動と熱伝達(OS4 相変化を伴う熱移動現象)
- F12 セラミックス浸漬水の凍結挙動(OS4 相変化を伴う熱移動現象)
- 低温空気による水分含有鋳造砂型の凍結成型特性
- 613 着霜円管の低温噴流昇華除霜挙動に及ぼす放射加熱の効果(熱工学III)
- 612 有機系収着剤を塗布した空調用直交型ハニカムの空気除湿特性(熱工学III)
- 606 収着剤デシカントロータと圧縮式冷凍機による複合式空調システム(熱工学I)
- 605 収着剤冷凍機における熱交換器に塗布した収着剤の収・脱着挙動(熱工学I)
- 収着剤ロータを用いた複合式湿度調節システム
- 熱交換器伝熱面に塗布した有機系収着剤の収着特性
- 614 潜熱マイクロカプセルスラリーの曲管内流動と熱伝達(熱工学II)
- 611 有機系収着剤粒子層における水蒸気収着促進の検討(熱工学I)
- 界面活性剤添加有機ブラインの直円管内流動時の流動抵抗と熱伝達低減挙動
- 繊維系有機吸着剤の過渡的脱着特性
- 直接接触熱交換法を用いた中温度潜熱蓄熱槽の放熱特性
- 架橋ポリエチレン粒子充填潜熱蓄熱槽の非定常放熱特性
- フッ素系不活性液体を熱回収用媒体として用いた液-液直接接触熱交換に関する研究 : 温水中を降下するフッ素系不活性液滴群についての伝熱特性
- 繊維質系流動抵抗軽減剤添加水の直管内流動抵抗および熱伝達特性
- 形状安定化処理パラフィン潜熱蓄熱材を用いた流動層型潜熱蓄熱に関する研究 : 第2報-流動層型潜熱蓄熱槽の放熱特性
- 傾斜配置した平板状形状安定化潜熱蓄熱材充填矩形蓄熱槽の蓄熱特性
- 形状安定化球状潜熱蓄熱粒子を用いた流動層型潜熱蓄熱槽の放熱特性(〔熱工学, 内燃機関, 動力など〕)
- 管内流動氷水スラリーの採冷熱特性に関する研究
- 液液直接接触熱交換用非水溶性熱媒体の物性測定
- 610 SBR/NR架橋プロセスの予測法(熱工学II)
- 610 ソリッドゴムの架橋プロセスに関する研究(熱工学I)
- 407 発泡ゴムの架橋プロセスに関する研究(機械材料・材料加工IV)
- (8)マイクロフィン付き水平管内凝縮の修正理論モデル(論文)(日本機械学会賞〔2002年度(平成14年度)審査経過報告〕)
- 606 流動過冷却水中におけるガスハイドレートの生成実験
- へリンボン管内を流れる凝縮液をみる
- ヘリンボン管内を流れる凝縮液を見る (特集 冷凍・空調システムにおける可視化・計測技術)
- マイクロフィン付き水平管内凝縮の修正理論モデル(熱工学, 内燃機関, 動力など)
- マイクロフィン付き水平管内凝縮の理論解析
- 614 冷媒HCFC123のマイクロフィン付き水平管内凝縮(熱工学IV)
- 冷媒のマイクロフィン付き水平管内凝縮 : 環状流領域における熱伝達の数値解析
- Uベンドを有する二重管形凝縮器に関する研究 : 非共沸混合冷媒R114/R113による実験
- 水和塩の過冷却状態を利用した潜熱蓄熱に関する研究 : 第1報, 酢酸ナトリウム3水和塩の過冷却状態を含む物性の評価
- 水平フィン付き管群を流れる冷媒R113蒸気の凝縮熱伝達 : 千鳥配列管群の場合
- Uベンドを有する二重管形凝縮器に関する研究
- 低温潜熱物質を分散体としたO/W型エマルションを用いた蓄冷システムに関する基礎研究 : 第1報,熱物性の評価
- 傾斜く形潜熱蓄熱槽の蓄熱特性に関する数値計算
- 比較的浅い底面加熱を受ける上部開放矩形くぼみに球状粒子を一段充〓した場合の共存対流熱伝達
- 静止状態におけるバルク状水および水溶液の過冷却現象に影響を及ぼす諸因子の効果
- 比較的大きな球状粒子を充填した下面加熱・上面冷却を受ける水平粒子層の対流熱伝達
- 水平霜層の熱放射による上部融解に関する基礎研究
- 流動過冷却水による連続製氷に関する基礎研究
- 非共沸混合冷媒R114/R113の水平二重管環状部における凝縮 : 圧力降下と物質伝達の整理
- 非共沸混合冷媒R114/R113の水平二重管環状部における凝縮 : 実験結果
- 下向き凝縮面の伝熱促進に関する研究 : 凝縮面を傾斜させた場合の実験結果
- 下向き水平凝縮面の伝熱促進に関する研究