西部北太平洋からのヒオドシホンヤドカリ(新称)Pagurus townsendi(BENEDICT,1892)(十脚目・異尾亜目・ホンヤドカリ科)の初記録
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概要
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北海道東部から本州東北部にかけての太平洋沿岸の深海から採集された標本に基づき,Pagurus townsendi(BENEDICT,1892)(新称:ヒオドシホンヤドカリ)を報告した.本種は,これまではアラスカ産の数個体の標本により知られているのみで,本報告は本種の西部北太平洋からの初記録となる.日本産の本属既知種の中では,ミツカドホンヤドカリP.trigonocheirus STIMPSON,1858に最も類似するが,額角がより長く明瞭であること,眼の角膜部が肥大すること,鉗脚がより伸長すること,生時は全体的に赤色を呈することなどの点で容易に識別できる.両種はほぼ同じ海域に分布するが,本種は300m以深に限られ,ミツカドホンヤドカリはこれより浅所に出現する.また,本標本は本種が北部太平洋に広く分布することを示すが,オホーツク海と日本海からは現在のところ標本が得られていない.
- 日本動物分類学会の論文
- 1993-07-25
著者
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