北日本から採集されたヒメクロザコエビ(新称)Argis hozawai(YOKOYA,1939)の再記載
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概要
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宮城県金華山から北海道東部羅臼にかけての北日本太平洋沿岸から採集された標本に基づきヒメクロザコエビ(新称)Argis hozawai(YOKOYA, 1939)を再記載した.本種は原記載(宮城県尾崎沖)以外では韓国の沿岸から記録されているのみであった.形態的にはクロザコエビA.lar(OWEN,1839)に酷似するが,額角の直後に明瞭な結節状突起があること,第1および第2腹節上の正中隆起が明瞭であること,第1胸脚のはさみの掌部が比較的太いこと,および体がやや小型であることなどの点で識別される.さらに,以上の特徴に基づいてシノニムの整理を行った結果,クロザコエビに関する文献のいくつかが両種を混同していることが示唆された.また,VINOGRADOV(1950)によって提唱されたNectocrangon lar kobjakoviは,その後の研究者によりクロザコエビのシノニムとされたが(KOBJAKOBA,1958;ZARENKOV,1960),本研究では,額角の後方に結節状突起を持つという点から本種のシノニムと判断した.関係文献を検討した結果,クロザコエビは北極圏を含む北部北太平洋に広く分布するが,本種の分布は北太平洋西部に限定されていることが示唆された.
- 日本動物分類学会の論文
- 1992-12-25
著者
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尼岡 邦夫
北海道大学水産学部水産動物学
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尼岡 邦夫
北海道大学水産学部水産動物学講座
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尼岡 邦夫
北海道大学
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駒井 智幸
北海道大学水産学部水産動物学講座
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駒井 智幸
千葉県立中央博物館動物学研究科
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駒井 智幸
北海道大学水産学部
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