マレー半島産Bufo asper(両生類,ヒキガエル科)から発見されたトリパノゾーマ(原生動物,トリパノゾーマ科)の2新種
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概要
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著者らは,1988年9月から1990年10月にかけて,マレーシア各地で採集した森林性の大型のヒキガエルの1種Bufo asper 89頭の血液塗抹標本を調べ,3種類のトリパノゾーマを検出した.そのうち2種は,今まで全く報告されたことがない新種であるので,命名記載した.新種Trypanosoma yongiは,6つから9つの襞がある発達した波動膜を持つ体長40.8〜87.5μmの種で,キネトプラストと丸い核の後端までの距離は6.1〜12.5μmである.虫体前端の波動膜に沿った部分の細胞質は,ギムザではしばしば淡染し,この部分は非常に薄いらしい.形態的に本種と比較し得る種類は,今まで他の脊椎動物からも全く発見されていない.なお種小名はマラヤ大学の動物学教授YONG Hoi Sen博士を記念して命名した.一方,新種Trypanosoma terbesarは,北米およびオーストラリアを除く世界各地の無尾類から発見されるいわゆるrotatorium型のトリパノゾーマに属し,体軸に平行して走る長い紡錘形の核と大きな発達した襞がある波動膜を持っている.しかし本種は他の同じ型に属するトリパノゾーマと比べると非常に大きく,体は卵形または楕円形で,体長41.4〜61.4μm,体幅14.3〜31.4μmもある.種小名はマレー語で"最大の"を意味し,本種がrotatorium型の中では最大の種であるためにこのように命名した.
- 日本動物分類学会の論文
- 1992-06-25
著者
-
宮田 彬
大分医科大学
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宮田 彬
Department Of Infectious Diseases Oita Medical University
-
POON Slew
マレーシア・Malaya大学
-
Poon Siew
マレーシア・Malaya大学
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