エダクラゲ Bougainvillia bitentaculata UCHIDA, 1925の変態
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概要
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1977年から1981年の間に,北海道忍路でエダクラゲBougainvillia bitentaculataを4個体採集した.これらのうち,1個体の幼水母(採集時,傘径0.75mm,傘高0.63mmで3本の傘縁触手と4本の分枝しない口縁触手を有する)を退化がおこるまでの83日間飼育し,その変態過程と成水母の刺胞を調べた.幼水母は飼育後11日で成熟し,この時傘径1.44mm,傘高1.25mmで,口柄支持柄,8本の傘縁触手,4本の2分枝した口縁触手を有する雄成水母となった.この形態は本種の特徴であるが,その後さらに著しい変態をおこし,19本の傘縁触手, 4,5回分枝した4本の口縁触手を有し,傘径2.5mm,傘高2.1mmに達した.また,口柄先端と触手瘤は黒色を呈したが,眼点はみられなかった.刺胞は, desmonemeとmicrobasic euryteleの2種がみられた.これらの点より本種は,ニューギニア産のBougainvilla aurantiaca BOUILLON, 1980および北欧,バンクーバー島,シャム湾から報告されているB. muscoides (M. SARS, 1846)とよく似ており,これらは全て同種である可能性が考察された.
- 日本動物分類学会の論文
- 1982-12-25
著者
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