日水産カイヤドリヒドラ類の交配能力と単為発生
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概要
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静岡県清水産Eugymnanthea inquilina japonicaの雄と北海道忍路産Eutima japonicaの雌との間で行った13例の交配実験のうち,少なくとも1例で刺胞と内胚葉をもち繊毛で遊泳する幼生,プラヌラが生じた.一方,同E.i.japonicaの雌と北海道忍路および宮城県松島産E.japonicaの雄との間で行った計38例の交配実験では,プラヌラは生じなかった.同E.i.japonicaの雌と北海道忍路および木古内産Hydrocoryne miurensisの雄との間で行った8例の交配実験でもプラヌラは生じなかった.同E.i.japonicaの雌35個体のうち30個体で単為発生がおこったが,プラヌラは生じなかった.単為発生で生じた幼生のほとんどは,飼育容器の底でゆっくりと回転していたが,遊泳するものもみられた.回転あるいは遊泳し刺胞をもたない幼生が,おそらく単為発生の結果,上記の雌E.i.japonica×雄E.japonicaと雌E.i.japonica×雄H.miurensisの交配実験の際にもしばしば出現した.これらの結果と以前に得た結果は,E.i.japonicaの雌はE.japonicaやH.miurensisの雄とは交配不能のようだが,E.japonicaの雌はE.i.japonicaやEucheilota intermediaの雄とは交配可能な場合もありうることを示している.
- 日本動物分類学会の論文
- 1987-06-25
著者
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