下田産ClytiaおよびPhialidiumについて
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概要
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1977年8月に,静岡県下田にてイガイの貝殻上にごく小さな群体を形成しているヒドロポリプClytia delicatulaを採集した(下田からは初記録)。そのしわのない特徴的な生殖莢の長さを除いて0,6〜0.8mmから,生殖腺をもたないごく若いクラゲ(傘径0.4mmで,4本の触手,4個の傘縁瘤,8個の平衡胞,帯状に分布した外牽刺胞,触手先端に刺胞瘤を有する)が遊離した。このクラゲのその後の飼育は成功しなかったが,同地点で採集したごく若いクラゲPhialidium sp.(Clytia属のポリプより遊離してまもないものと思われ,上述のクラゲとほぼ同じ形態)を実験室で一ヵ月間飼育し,成熟クラゲを得た。このクラゲは傘径10mmに達し,12〜16本の触手,触手と数個の傘緑瘤をあわせて17〜20,24〜35個の平衡胞,2種類の刺胞(幼クラゲも同様)を有していた。 これらの下田産のクラゲは,筆者が近年研究を行なった北海道産の近似種(あるいは同種?)Clytia edwardsiのクラゲと形態的に似るものの,ポリプから遊離してまもない段階で生殖腺がない点,飼育して1ヵ月後の成熟した段階で,触手数や触手数と傘緑瘤数をあわせた数が少なく,生殖腺が短くて放射管上のより後方に位置し,触手に存在する刺胞,microbasic mastigophoresがより大きい点など,多少の相違点がみられる。
- 日本動物分類学会の論文
- 1978-12-15
著者
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