銅塩によるラットの偽妊娠誘発, 毒性に関する研究 : 特にD-penicillamineの作用について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
銅塩による偽妊娠発現機序および毒性除去の問題を検討するため, 性周期の正しい成熟雌性ラットに硫酸銅およびCu^<64>-acetateを投与し, 偽妊娠発現率およびCu^<64>の生体内分布を検討し, さらにこれらに及ぼすD-penicillamine (D-pcA)の影響を検討し次の成績を得た.まず, ラットにおける硫酸銅の100%致死量は28mg/kgであり, D-pcA 600mg/kgを皮下注射することにより全例生存し得た.Cu^<64>の分布は血清では銅塩は静注直後より急激に減少し, 12時間後に最低値を示し, その後は著明な変化はみられず, 肝臓では時間の経過と共に急激にとりこみが増加し, 12時間後に50%でピークを示し, 腎臓では3時間後に12%でピークを示した.他の臓器では肝, 腎臓とは異なつた分布曲線を示した.一方, D-pcAを投与した場合には血清ではCu^<64>静注直後より約30%の減少が観察され, それに伴つて銅塩の体外排泄の促進が認められた.他の臓器ではCu^<64>投与直後より著明な変化は認められず, 2〜3日後の測定において多少減少の傾向が認められた.また, D-pcAを投与することによりラットの偽妊娠の発現率は著しく抑制された.以上の結果, 偽妊娠の発現は血中の銅塩の濃度, 状態に左右されることが明らかになり, D-pcAを前処置した場合には銅塩の体外排泄は明らかに促進されるが, 同時に偽妊娠の発現も抑制されることが認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-03-01
著者
関連論文
- 妊婦検診・産褥婦健診時の尿糖検査成績とその臨床的意義
- 術前動注化学療法により外科的摘出が可能となった外陰癌IVa期の1症例
- 64.リプロダクション現象よりながめた婦人科疾患(第10群その他II)
- Ethynodiol diacetate (SC-11800) の雌ラットの性周期および下垂体内Gonadotropin含有量に及ぼす影響
- Ethynodiol diacetate (SC 11800) の雌ラットの性周期および妊孕性に及ぼす影響
- 無月経に対する Gestagen test の検討
- 銅塩によるラットの偽妊娠誘発, 毒性に関する研究 : 特にD-penicillamineの作用について
- 家兎の銅塩排卵に関する研究 : 特に D-penicillamine による影響について
- 58. 絨毛性腫瘍の病態