家兎の銅塩排卵に関する研究 : 特に D-penicillamine による影響について
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概要
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排卵現象は極めて複雑であり, 人工的な排卵誘発および抑制に関する研究も数多く行なわれているが未だ不明の点が多い. 今回, 成熟雌性家兎 (2.0〜3.0kg) を用いて銅イオンの体外排泄を促進するD-penicillamine (D-pcA) を投与し, 銅塩による排卵に及ぼす影響を検討した. この結果, D-pcA は投与方法, 投与時間により量的変化は認められるが硫酸銅による排卵を完全に抑制することが認められた. また, D-pcA の排卵抑制量を硫酸銅投与前後に経時的に投与することにより, 銅イオンの排卵刺激時間を推定することが出来た. D-pcA の排卵抑制作用を知るため Cu^<64>-acetate を雌性家兎に投与し, 血清および主要臓器中のCu^<64>の分布を検討した. 血清では銅イオン投与直後より D-pcA 投与群では対照群に比して濃度の低下が著しく, しかも, 腎臓, 肝臓では銅イオンの体外排泄の成績を得た. しかし, 脳下垂体, 卵巣など排卵に直接関係のある臓器では特徴的な変化は認められず, D-pcA の排卵抑制作用は組織内の銅イオンの変化よりも血中の濃度の低下によることが明らかになった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-02-01
著者
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