6,産婦人科とThrombophillia : どう対処する? : 2)妊娠と血小板減少症(<II.クリニカルカンファランス>)
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概要
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妊娠中毒症妊婦において妊娠経過中血小板数が減少することはよく知られているが,正常妊婦は有意の血小板数変動を示さないとされてきた.これは正常妊婦集団の平均血小板数が変化しなかったための誤解であった,実際には正常妊婦の4%前後が徐々に血小板数低下を示し,分娩前後には<150×10^9/Lを示すようになる(gestational thrombocytopenia:GT).正常妊婦集団の平均が変化しないのは血小板低下を示す率とほぼ同様な率で血小板増加を示す群が存在したためである,また,GTはHELLP症候群発症に先行する.GT合併症例中,絶対血小板数が低い妊婦ほど分娩前後肝酵素上昇と高LDH値を示しやすくアンチトロンビンIII(AT-III)活性の変動を含めた臨床像もHELLP症候群と同様である.これら異常値は産褥1週間でほぼ正常に復する.またGTは次回妊娠時にも反復しやすくHELLP症候群は再発しやすいという事実と一致する.妊娠中の血小板数変動に注目することはHELLP症候群発症危険妊婦群をあらかじめ同定することを可能にし,適切な分娩時期設定を可能にする,多胎妊娠では単胎妊娠に比してGTが起こりやすくHELLP症候群になりやすい.双胎管理時には血小板数変動に特に注意を要する.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 2002-09-01
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