HELLP症候群と血液濃縮 : 尿量/補液量比による評価

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目的:帝王切開後のHELLP症候群褥婦では,HELLP症候群のない褥婦に比べて,分娩後尿量が少ない可能性がある。尿量/補液量比を用いて,これを評価することが本研究の目的である。方法:帝王切開が行われた17名のHELLP症候群褥婦(分娩週数;35±2.8週,平均±標準偏差)と23名のHELLP症候群のないコントロール褥婦(37.5±2.7週)を研究対象とした。分娩周辺期に低血小板血症(12万/μ1以下),高AST血症(50IU/L),高LDH血症(700IU/L)の3つを同時に示し,かつ出血傾向や他臓器不全などの臨床症候を示さない婦人を今回検討対象のHELLP症候群とした。手術室入室時から産褥まで尿量と補液量をモニターし,さらに血算を測定評価した。成績:コントロールに比し,HELLP症候群婦人では1)分娩当日および分娩翌日の尿量/補液量比は小さく(HELLP vs control:dayO ; 0.21±0.13vs 0.65±0.18,day1 ; 0.89±0.45 vs1.30±0.35),2)分娩前Hb(HELLP vs control:13.3±1.5vs 10.7±1.5g/dL)およびHt (HELLP vs contro1:39.1±4.4vs 32.1±3.9%)は高値であった。HELLP症候群婦人に認められたこの高Hb・高Htは産褥3日目には8.5±1.6mg/dLおよび26.4±5.8%にまで低下した。結論:コントロール褥婦に比べHELLP症候群褥婦では,尿量は補液量に比し少量である(尿量/補液量比は小さい)。臨床症候を示さず血液データのみから診断されたHELLP症候群婦人では血液濃縮が存在する可能性がある。
自治医科大学の論文
2004-12-01

HELLP症候群と血液濃縮 : 尿量/補液量比による評価

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