岩手県における極小未熟児分娩の臨床的検討

概要

論文の詳細を見る
岩手県における地域対応型周産期医療の地域化をより一層充実するために, また極小未熟児分娩の減少を計るために, 今回4年間に当科で極小未熟児を娩出した母体119例の入院時子宮口開大度, 前期破水の有無, 破水後分娩までの時間, 新生児の短期予後, 破水後の分娩までの latent periodと児の合併症を検討して以下の成績を得た. (1) 極小未熟児を分娩した母体の90.7%は母体搬送で38.8%に前期破水を合併していた. (2) 非破水例では破水例に比して子宮口開大度が4cm以上で入院する率が有意に高かつた. (3) 子宮口が4cm以上で入院した非破水例では86.8%が24時間以内に分娩していた. (4) 極小未熟児の帝王切開率は16.5%であつた. (5) 極小未熟児の新生児期の死亡率は10.8%であり, 超未熟児と750g未満の児では20%, 42.8%であつた. (6) 頭位と骨盤位, 経膣分娩と帝王切開, いずれの組合せにおいても児の脳室内出血の頻度に有意差を認めなかつたが1,000g未満と1,000g以上の児では, 前者が有意に合併率が高かつた. (7) 750g未満の児は, 新生児期の死亡率, 脳室内出血の頻度共に1,000g以上の児に比して有意に高かつた. (8) 破水群でほ非破水群に比して児の肺炎と敗血症の合併率が有意に高かつた. (9) 破水群の児において呼吸窮迫症候群と動脈管開存症の発生率は latent periodの延長に伴い減少し, 敗血症は増加したが肺炎には大きな変化を認めなかつた. 以上の成績から岩手県における周産期医療の一層の充実のためには特に1,000g未満の超未熟児の出生予防が必要であり, そのためには早期産に対する妊婦の自覚を一層高める保健指導と教育, さらには, 子宮口開大を早期に発見するため, 医師が適切な内診を行うように一層の啓蒙が必要である.
1988-09-01

岩手県における極小未熟児分娩の臨床的検討

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク