ヒト黄体細胞の微細構造学的ならびに細胞化学的検討
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概要
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ヒト黄体細胞は, 著しく発達した滑面小胞体(sER), 小管状のcristaeを持つ大型mitochondria, 発達したGolgi装置, lysosomes様穎粒および大小の脂肪滴を有することが知られている.これらの特徴的なorganellesの役割は近年の生化学的研究により明らかとされつつあるが, 形態学的な検討はほとんど加えられていない.この問題を理解する一助として, 21例のヒト分泌期中期黄体につき, 通常電顕の観察を行なうとともに, 3β-hydroxysteroid dehydrogenase(3β-HSD), cytochrome C oxidase(CY-O), NADPH diaphorase(NP-DP)およびacid phosphatase(ACP〉活性の検討を, おのおのBenkoel et al., Ogawa et al., Ago and OgawaおよびBarka and Andersonの方法により電顕酵素組織化学的に検討を加えた.また, digitoninを固定液などに加えることにより3β-sterolの細胞内局在についても検討した.通常電顕による観察で, 上述の微細形態上の特徴に加えて, nexus, および"Progesterone secretion granules"と思われる分泌穎粒の存在を認めた.3β-HSD活性はmitochondriaのintercristal spaceおよびouter space, およびsER上に, CY-O活性はmitochondriaのみに, NP-DP活性はmitochondriaおよびxER上に, ACP活性はlysosomes様穎粒およびGolgi装置におのおの認められた.3β-sterolの検出法では少数の脂肪滴に結晶形成が観察され, sERの膜変形を認めた.以上の結果から, ヒト黄体細胞ではmitochomdriaが単独でprogesteroneを合成する可能性があること, CY-OおよびNP-DP活性から考えて, mitochondriaのrespiratory chain活性が高く, 酸素消費が盛んであると考えられること, lysosomes様穎粒が確かにlysosomeでありこの酵素活性がsteroids合成に関与する可能性があること, さらに少数の脂肪滴はfree cholesterolを含むと考えられることを超徴形態学的に観察した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-07-01
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