母体胎児間における窒素運搬体(Nitrogen Carrier)としてのアミノ酸について
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概要
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我々は出生直後のヒト新生先11例について〓帯中の〓静脈および〓動脈血漿遊離アミノ酸濃度を測定し,各アミノ酸についてそれぞれ〓静,動脈差を求めた,我々の測定したアミノ酸はタウリン,スレオニン,セリン,アスパラギン-グルタミン酸,グルタミン,グリシン,アラニンの7種である.その結果,常に〓静脈側に高値であるのはアラニンのみであり,逆に常に〓静脈側に低値であるのはアスパラギン-グルタミン酸,グリシンおよびセリンであつた.またグルタミン,タウリン、スレオニンは〓静脈側に症例によつてあるいは高値,あるいは低値であることが判明した.これらの実験結果は,成熟ヒト胎児が,1) アミノ窒素源として常にアラニンを,時にグルタミン,タウリンおよびスレオニンを体組織内に取り込んでいる.また,2) ヒト胎児はアミノ酸を一方的に取り込むばかりでなく,意外にも常にグリシン,セリン,アスパラギン-グルタミン酸,時にグルタミン,タウリン,スレオニンなどのアミノ酸を体外に放出している,ことを意味すると理解される.すなわち,妊娠末期の母体胎児間のアミノ酸の流れには,アラニンが母体より胎児へ流れ込み,グリシン,セリン,アスパラギン-グルタミン酸が胎児より母体に逆流するというパターンが存在すると推定される.また,〓動脈血漿濃度と,〓静,動脈血漿濃度差の関係からアラニンは〓動脈濃度に関係なく胎児側に常に一定量以上流入するが,グリシン,セリン,アスパラギン-グルタミン酸は、〓動脈濃度が高くなればなる程,胎児より流出する量が増加する性質を有していることが判明した
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-07-01
著者
-
城戸 国利
京都大学医学部婦人科学教室
-
林 進
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
山田 順常
京都大学医学部婦人科学産科学教室
-
真田 恵子
京都大学医学部栄養治療室
-
眞田 惠子
京都大学医学部栄養治療室
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