人胎生期におけるグルタミン酸脱水素酵素活性とその意義
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概要
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著者は人胎児臓器グルタミン酸脱水素酵素(GDH)活性の発達について検討した. 対象とした臓器は, (1) 胎生10週から32週にいたる胎児肝24例, 胎児腎9例, 胎先脳9例, (2) 胎生10週から40週にいたる胎盤10例, (3) 新生児肝5例, および (4) 成人肝2例である. GDH活性測定法は, グルタミン酸の酸化速度をNADの還元速度をもって測定するStrecker(1955)の方法に従った. 人胎児肝におけるGDH活性(/g.w.t.w.)は, 胎生10週においてすでに充分測定でき, 以後胎生の進行と共に増加し, 胎生32週にはほぼ新生児肝のレベルに到達した. 新生児肝GDH活性(/g.w.t,w.)と成人肝GDH活性(/g.w.t.w.)の間には著差は認められなかった. 一方, 人胎児腎, 脳, および胎盤GDH活性(/g.w.t.w.)は胎児肝に比較し極めて低値で, 胎生の進行にともなう活性(/g.w.t.w.)の発達も著明ではなかった. 著者は人胎児肝グルタミン酸脱水素酵素活性の推移から, 人胎児は体内で発生したアンモニアを老廃物として体外に排泄するよりは, アミノ基供給体として同化する能力を有しているのではないかと考察した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-01-01
著者
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