着床前妊卵の生殖生理についての最近の動向

概要

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哺乳動物の生殖は多数の遺伝的および環境的条件が極めて複雑にそして巧妙に関与する生理現象である.ヒトにおいては着床前受精卵の採取に技術的人道的問題がからみ,多くの未解決の分野かのこされている.実験動物における生殖生理現象の機序の解明が,ヒトにおける生殖の問題に直接適用されるとはかぎらないが,しかし多くの示唆にとんだ事象が少しずつ明確になされてきた. 時間的制約が本講演にはあるので,着床前受精卵における細胞遺伝学的ならびに内分泌学的問題につき,最近の内外の知見を表面的かつ部分的ではあるが解説しHuman ReproductionへのApproachとして若干の考察を試みることにする. 1) 流産胎児の染色体異常,2) 遅延排卵と受精卵の異常,3) 遅延受精と受精卵の異常,4) 精子の老化と受精卵の異常,5) 母体の年齢と受精卵の異常,6) 排卵誘発(過排卵)と受精卵の異常,7) 着床前受精卵の新しい標本作製法,8) 外因性性ステロイドと受精卵の異常,9) 経口避妊薬と妊卵の異常,10) 着床前受精卵とプロゲステロン,11) 着床前受精卵とゴナドトロピン,12) IUD (active)と着床前受精卵,以上の12項目別に解説をすすめる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1975-08-01